爆弾娘現る!? [日記]
ある日の朝、姉妹たちのねぐらに一人のドラウがやってきた。
「こんにちはぁ!あたし、イルマディア、でーす!」
あまりにも素っ頓狂な声に驚いて、姉妹たちがみんな出てきた。ちょうど顔を出していたシシィとオディールがその訪問者に駆けより、声をかける。
「あー!あんたやっときたの!?結局なに始めたのよ!?」
「へへー!聞いて驚け!なんとバードよっ!」
イルマディアというらしいドラウは得意げに胸を反らして見せた。
「あ、あんたがバード・・・・。あの音痴で有名なイルマディアが・・・・。」
「こ、こりゃストームリーチは大荒れだわ・・・。」
あきれ顔でため息をつくドラウ二人。
「あら、これでも必死で修行したのよー。ストームリーチのリルを目指してまーす!皆さんよろしくっ!」
「あ、ああはい。よろしくね。」
「元気がいいわねぇ。よろしくね。」
突然の嵐のような訪問者に呆然としていた姉妹たちがそれぞれ挨拶をしたが・・・。
「あんたの名前って、ドラウじゃよくあるの?」
突然尋ねたのはリゼルだ。見ると彼女にしては珍しく渋い顔をしている。
だがイルマディアは動揺する様子も見せず、
「どうなのかなあ。あ、でもね、あたしの名前は、皆さんと同じ、トーリルからきたって言う人がつけてくれたみたい。」
けろりとして答えた。
「トーリルから?その人はどこにいるの?」
リゼルは眉をひそめたままなおも尋ねる。
「うーん、ドラウの本拠地にいるって言う話だけど、あたしも会ったことないのよねぇ。長老なら知ってるんじゃない?ねえ、リゼルさんよね?長老がすごくほめてたわ。おまえを一人で行かせるのはものすごく不安だけど、リゼルとその姉妹たちなら、きっとおまえを一人前にしてくれるだろうって。なんか青い顔してため息ついてたけど、きっと長老は、あたしのことを手放すのが惜しかったのよねえ。何たって未来の大歌手だしぃ♪」
(やっとやっかい払いが出来て、今頃長老は祝杯でもあげてるかもね。)
(でもリゼルからクレームがつくんじゃないかって心配してるかもよ。いずれにせよ、長老の胃薬の量は減らないでしょうね。)
シシィとオディールのひそひそ話が、カーナの立っている場所にも聞こえてくる。どうやらこのイルマディアというドラウは、相当なお騒がせ娘らしい。
「なるほどね・・・。まあいいわ。よろしく、イルマディア。私は最近あまり出かけないの。奥にいるから、何か用事があれば訪ねてね。」
新しくやってきた仲間にはいつも優しいリゼルだが、珍しく素っ気なく言い放ち、さっさと部屋に引き上げた。
「・・・どうしたの?あなたらしくないわねぇ。あの子が気に入らないの?」
カーナがリゼルの部屋にやってきた。
「あの子のせいじゃないけど、そのトーリルからきたってやつが、何でよりにもよってイルマディアなんて名前をあの子につけたのかが理解できないだけよ。」
「そういえばどこかで聞いた名前だと思ったけど・・・・あ・・・!」
カーナは思い出した。リゼルはトーリルで、ノースと呼ばれる寒い地方を主に歩いていた。テンタウンズのトラブル解決、ネヴァーウィンターの騒動の解決など、彼女の功績は数多いが・・・。
「あのドーンズディープの・・・。」
リゼルがうなずく。
「あの子も子供だったわよ。だけど殺したの。そうしなければあの世界が滅びてしまうから。いい子だったわよ。出会ったのがもっと別の時だったら、友達になれたかもしれないと思うくらい・・・」
「・・・・・・・・・・・。」
実はカーナはトーリルにいた頃、一度だけリゼルと一緒に冒険したことがあった。まだ彼女が駆け出し冒険者だった頃、当初はバードとして身を立てようと考えていた頃の、本当に若いときのことだ。リゼルとは年はほとんど違わないが、当時リゼルはすでにノースで活躍する冒険者の一団にいて、それなりに名を知られるようになってきていた。たまたま出かけたイーストヘイヴンでリゼルのいたパーティーと意気投合し、ちょっとしたお手伝いのつもりで行ったはずのクルダハル遠征隊。雪崩に巻き込まれて命からがらたどり着いたクルダハルで知ることになった恐ろしい現実・・・。最悪の結末を回避するための答えを求めて足を踏み入れた、ドーンズディープと呼ばれる場所で遭遇したあどけない顔の少女が「イルマディア」という名だった。華奢な体に不釣り合いな鎧と武器。だが彼女はとても強く、殺さなければこちらが全滅していただろう。彼女を殺した咎があるとすればそれはカーナだって同じなのだが、あのときイルマディアにとどめを刺したのが、リゼルが放った矢だったのだ。
「気にしてもしょうがないんだけど・・・しばらく会いたくないわ。どうせどこにも出かける予定はないから、当分ほっといてくれる?」
「ほっといたら元気になる?」
「なるわよ。いつまでもうじうじしていたくないもの。今はちょっと感傷的になってるだけ。」
変わった名前だが、絶対にないと言い切れるほど珍しいわけではない。そのトーリルからやってきた誰かは、名前だけをどこかで聞いて、何となくつけたのかもしれない。
(ドラウが生まれた子に、しかも女の子に、そんないい加減な名前の付け方をするはずはないんだけど・・・。)
不安な気持ちなのはカーナも同じだが、イルマディア本人には関わりのないことだ。毎日あの調子で訪ねてこられたら疲れそうだが、しばらくは面倒を見なければならないだろう。後で長老を訪ねてみようか・・・・。
「それじゃ、食事の時くらいは顔出しなさいよ。」
「わかった。」
カーナはリゼルの部屋を出た。また一人ドラウが増えた。ランフィアの悩みが増えなければいいんだけどと思っていたけれど、こんなところにも影を落とすことになるとは・・・。
「でも当面は、心配しても仕方ないわね。あ、朝ご飯の当番私だわ。」
そろそろストームリーチ中の冒険者たちが活動を始める時間だ。外のざわめきがだいぶ大きくなってきた。たくさん食べて、体力つけて、私もそろそろ出かける準備をしなきゃねと、カーナは台所に入っていった。
新キャラ紹介
イルマディア・ヴァンダール ドラウエルフ:女
バード
能力値は上から12/16/10/12/10/18という何となく散漫な配分に(^^;
シシィ、オディールとは友達だが、彼女達と一緒にリゼルのところに行こうとしたところを長老に止められる。せめてクラスを決めてある程度修行を積んでから行けと言うことだが、実は「イルマディアあるところトラブルあり」と言われるほどの爆弾娘なので、リゼルからクレームが付くことを恐れたらしい。「音痴のイルマディア」の二つ名を返上すべく、バードを志し日々修行に励む。このノーテンキなドラウ娘の名前がどうやらリゼルの昔の傷に触れたらしく、姉妹たちのねぐらには不穏な空気が流れているが、本人はまったく気づいていない。
「こんにちはぁ!あたし、イルマディア、でーす!」
あまりにも素っ頓狂な声に驚いて、姉妹たちがみんな出てきた。ちょうど顔を出していたシシィとオディールがその訪問者に駆けより、声をかける。
「あー!あんたやっときたの!?結局なに始めたのよ!?」
「へへー!聞いて驚け!なんとバードよっ!」
イルマディアというらしいドラウは得意げに胸を反らして見せた。
「あ、あんたがバード・・・・。あの音痴で有名なイルマディアが・・・・。」
「こ、こりゃストームリーチは大荒れだわ・・・。」
あきれ顔でため息をつくドラウ二人。
「あら、これでも必死で修行したのよー。ストームリーチのリルを目指してまーす!皆さんよろしくっ!」
「あ、ああはい。よろしくね。」
「元気がいいわねぇ。よろしくね。」
突然の嵐のような訪問者に呆然としていた姉妹たちがそれぞれ挨拶をしたが・・・。
「あんたの名前って、ドラウじゃよくあるの?」
突然尋ねたのはリゼルだ。見ると彼女にしては珍しく渋い顔をしている。
だがイルマディアは動揺する様子も見せず、
「どうなのかなあ。あ、でもね、あたしの名前は、皆さんと同じ、トーリルからきたって言う人がつけてくれたみたい。」
けろりとして答えた。
「トーリルから?その人はどこにいるの?」
リゼルは眉をひそめたままなおも尋ねる。
「うーん、ドラウの本拠地にいるって言う話だけど、あたしも会ったことないのよねぇ。長老なら知ってるんじゃない?ねえ、リゼルさんよね?長老がすごくほめてたわ。おまえを一人で行かせるのはものすごく不安だけど、リゼルとその姉妹たちなら、きっとおまえを一人前にしてくれるだろうって。なんか青い顔してため息ついてたけど、きっと長老は、あたしのことを手放すのが惜しかったのよねえ。何たって未来の大歌手だしぃ♪」
(やっとやっかい払いが出来て、今頃長老は祝杯でもあげてるかもね。)
(でもリゼルからクレームがつくんじゃないかって心配してるかもよ。いずれにせよ、長老の胃薬の量は減らないでしょうね。)
シシィとオディールのひそひそ話が、カーナの立っている場所にも聞こえてくる。どうやらこのイルマディアというドラウは、相当なお騒がせ娘らしい。
「なるほどね・・・。まあいいわ。よろしく、イルマディア。私は最近あまり出かけないの。奥にいるから、何か用事があれば訪ねてね。」
新しくやってきた仲間にはいつも優しいリゼルだが、珍しく素っ気なく言い放ち、さっさと部屋に引き上げた。
「・・・どうしたの?あなたらしくないわねぇ。あの子が気に入らないの?」
カーナがリゼルの部屋にやってきた。
「あの子のせいじゃないけど、そのトーリルからきたってやつが、何でよりにもよってイルマディアなんて名前をあの子につけたのかが理解できないだけよ。」
「そういえばどこかで聞いた名前だと思ったけど・・・・あ・・・!」
カーナは思い出した。リゼルはトーリルで、ノースと呼ばれる寒い地方を主に歩いていた。テンタウンズのトラブル解決、ネヴァーウィンターの騒動の解決など、彼女の功績は数多いが・・・。
「あのドーンズディープの・・・。」
リゼルがうなずく。
「あの子も子供だったわよ。だけど殺したの。そうしなければあの世界が滅びてしまうから。いい子だったわよ。出会ったのがもっと別の時だったら、友達になれたかもしれないと思うくらい・・・」
「・・・・・・・・・・・。」
実はカーナはトーリルにいた頃、一度だけリゼルと一緒に冒険したことがあった。まだ彼女が駆け出し冒険者だった頃、当初はバードとして身を立てようと考えていた頃の、本当に若いときのことだ。リゼルとは年はほとんど違わないが、当時リゼルはすでにノースで活躍する冒険者の一団にいて、それなりに名を知られるようになってきていた。たまたま出かけたイーストヘイヴンでリゼルのいたパーティーと意気投合し、ちょっとしたお手伝いのつもりで行ったはずのクルダハル遠征隊。雪崩に巻き込まれて命からがらたどり着いたクルダハルで知ることになった恐ろしい現実・・・。最悪の結末を回避するための答えを求めて足を踏み入れた、ドーンズディープと呼ばれる場所で遭遇したあどけない顔の少女が「イルマディア」という名だった。華奢な体に不釣り合いな鎧と武器。だが彼女はとても強く、殺さなければこちらが全滅していただろう。彼女を殺した咎があるとすればそれはカーナだって同じなのだが、あのときイルマディアにとどめを刺したのが、リゼルが放った矢だったのだ。
「気にしてもしょうがないんだけど・・・しばらく会いたくないわ。どうせどこにも出かける予定はないから、当分ほっといてくれる?」
「ほっといたら元気になる?」
「なるわよ。いつまでもうじうじしていたくないもの。今はちょっと感傷的になってるだけ。」
変わった名前だが、絶対にないと言い切れるほど珍しいわけではない。そのトーリルからやってきた誰かは、名前だけをどこかで聞いて、何となくつけたのかもしれない。
(ドラウが生まれた子に、しかも女の子に、そんないい加減な名前の付け方をするはずはないんだけど・・・。)
不安な気持ちなのはカーナも同じだが、イルマディア本人には関わりのないことだ。毎日あの調子で訪ねてこられたら疲れそうだが、しばらくは面倒を見なければならないだろう。後で長老を訪ねてみようか・・・・。
「それじゃ、食事の時くらいは顔出しなさいよ。」
「わかった。」
カーナはリゼルの部屋を出た。また一人ドラウが増えた。ランフィアの悩みが増えなければいいんだけどと思っていたけれど、こんなところにも影を落とすことになるとは・・・。
「でも当面は、心配しても仕方ないわね。あ、朝ご飯の当番私だわ。」
そろそろストームリーチ中の冒険者たちが活動を始める時間だ。外のざわめきがだいぶ大きくなってきた。たくさん食べて、体力つけて、私もそろそろ出かける準備をしなきゃねと、カーナは台所に入っていった。
新キャラ紹介
イルマディア・ヴァンダール ドラウエルフ:女
バード
能力値は上から12/16/10/12/10/18という何となく散漫な配分に(^^;
シシィ、オディールとは友達だが、彼女達と一緒にリゼルのところに行こうとしたところを長老に止められる。せめてクラスを決めてある程度修行を積んでから行けと言うことだが、実は「イルマディアあるところトラブルあり」と言われるほどの爆弾娘なので、リゼルからクレームが付くことを恐れたらしい。「音痴のイルマディア」の二つ名を返上すべく、バードを志し日々修行に励む。このノーテンキなドラウ娘の名前がどうやらリゼルの昔の傷に触れたらしく、姉妹たちのねぐらには不穏な空気が流れているが、本人はまったく気づいていない。
2007-11-19 23:59
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コメント(1)
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ふと思いついて昼休みにかいたんですが、南下くらい話になってるなあ(^^;
まあこんな話もあったんだよって事で♪
元ネタは「アイスウィンドデイル」と言うゲームのストーリーからです。トーリルでの出来事とエベロンでの出来事がどの程度リンクしているのかは知りませんので、話が前後してるとか矛盾しているとか言う突っ込みは受け付けません(笑)
by カーナ (2007-11-20 00:02)